しかし、このウイルスは力のなかにいる単なる受け身の旅行者ではない。
このウイルスは力の腸内で増殖して唾液腺まで旅をし、そこでまた増殖して唾液とともに次の犠牲者に注入されるのを待つのである。
こうしてこのウイルスは数千倍にも増殖するけれども、自分の伝達の機会を危うくするような病気を力に引き起こすことは絶対にないのである。
ひとたび力がサルからヒトへ黄熱をうつしてしまえば、彼ら力はそれをヒトからヒトへ直接媒介できることになり、これは人々の込み合った状態では非常に容易なことであろう。
黄熱病ウイルスは大西洋をうまく横断したのに、インド洋を横断してアジアに地歩を得ることにまだ成功していないのは驚きである。
しかしながら、これが起きる危険性は、以前よりも現在のほうがずっと高い。
この病気は、長い間、西アフリカに閉じ込められていたが、近年になって東アフリカのケニヤにまで広がった。
ケニヤとインドの問を定期的に往復する貨物船による不断の交通は、もうひとつの大陸へ広がるための理想的な輸送手段を提供しており、その新しい場所でこのウイルスは感染に対して完全に無防備な大集団を見出すことであろう。
黄熱とは対照的に、デング熱ウイルスはアフリカとアジアの双方で蔓延しており、しかもそれを抑えるためのワクチンはない。
このウイルスはインフルエンザのような症状を引き起こすだけのことが多いが、デング熱は潜在的に致死性の出血熱を引き起こすことがある。
デリーでの最近の発生はたった二か月間で五五00人が入院し、二三0人が死亡した。
このような流行はアフリカとアジアの両方で最近になって劇的に増えており、急速で無計画な都市化がウイルスのはびこる過密状態を提供しているのである。
このような都市では、ウイルス媒介力は、池、水たまり、下水溝、飲料用貯水池、空調機など、いたるところで繁殖する。
古いゴムタイャのなかはとくに都合のよい繁殖場所であり、どんな大都市にもそのような場所はたくさんあるものである。
ウイルスは近代的医療をすばやく利用する。
一人のウイルスキャリアー(保有者)から、ウイルスは、輸血用の血液、血液製剤、移植用の臓器などとともに新しい宿主のなかへ入り込む。
また彼らは、注射針、外科用メス、歯科用ドリルなどを汚染する。
主な犯人は、B型肝炎、C型肝炎、HIVなどの血液伝搬ウイルスである。
これらのウイルスはみな、ウイルスの存在に気づいていない一見したところ健康な人たちに慢性的な感染を定着させる。
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